2011-03-03

墓の下女学園シリーズ 197/帰郷2

白のワンボックスカーが、雪の国道を走っていた。



「猫ちゃん、寒いから嫌だと言ってたけど~~、結局ついてきたじゃな~い?」
と、座敷わらし。
「そこは、まあ、友情で….使い捨てカイロも大量に持ってきているし、ケケケケ、ガリガリガリ」
と鰹節を齧る猫娘。
“日本海側の魚がタダということに釣られて..ということじゃないの?“
座敷わらしが窓に向いて小声で言う。
「だけど~、初めてみる雪がね~業務用のクルマとはね~雪のロマンチック街道だと思ったのに、まえに恐山行った時は夏だったし~~」
「ただでさえ、荷物が有るのに、ジニアーおぬしが雪見たいとか、うまいものが食いたいとかで急についてくると言い出したから乗り切れなくなったのではではないか! わらわが、ベンツかクラウンを用意するつもりであったのにこんな下々の車で!」
“嘘つけ、最初からそんな気無い癖に、金持ちほどケチっていうじゃない..”
「ん、なんか言ったか?」
車内は騒がしい。 
「高級車は、だめよ、雪の山道に…」
と寝子。
なんだかんだ言って結局葵の帰郷に、ぞろぞろついてきたのであった。乗っているのは寝子、猫娘、亀姫、座敷わらし、ジニアーで、運転をしているのが葵であった。
そのハンドルを握る葵、先ほどから、珍しく黙っている。
雪は止んだ様だ。
目的地の“雪の城”まで、もうすぐというところで、国道から外れ、細い山道へ入って行った。道が悪い、車内が大揺れに揺れる。

yukimichi.jpg


「わわわ、だいじょうぶ?」
何も言わない葵。
そしてクルマは止まった。
葵は下車し、後ろへ回るとダンボールを取り出した。
「う~寒、この先だっけ、お城?まさかここから歩くなんて…??」
「ちょっとだけ寄りたいところがあるから」
とダンボールを開ける、中身は花束と線香だった。

yukigeshiki_20110304222135.jpg



葵は、人がやっと通れる土手を登りだした。

「え、え、どこ行くの?!」

震えながら後を追うと、そこは墓地であった。墓石がかろうじて頭を見せている。

「みんな、ちょっと下がって..」

葵が両手を組み、なんやら念じると、墓地の雪が舞いあがり墓石の群れが姿を見せた。
荒削りの墓石が2つ。葵は、膝を折り花を生け、線香を点け両手を合わせる。

「これは…?」
「父さんと母さんのお墓」

見ると墓石に“己之吉”と、“お雪”と刻まれている。

「お墓詣りもするなら、言ってくれればいいのに…」

と、皆手を合わせる。
そして....

「みんな、行くわよ」

と、墓を後に葵は歩き出した。

全員が乗った後、葵は、墓の方向を振り返り呟く。
「父さん、母さん..」
再び雪が降り始める。




晩、雪女の城の和室で。
猫娘がつぶやく。
「おねえ様….有名な怪談の“雪女”の話って、やっぱ葵ちゃんのお母さんのことだったのね?噂は聞いてたけど..」
「確か人間の男性と雪女とのハーフって..」
亀姫に振り向くと、変わって彼女が語りだした。
「それがのう、あやつがまだ小っこい頃、つい親父の己之吉が、お袋のお雪と出会った晩のことを口滑らせてしまいよった」
と亀姫は、茶を一口。
「伝説では確か、お母さん出て行ったんだよね? 育児放棄の家出よね?」
亀姫は指を立てて違うという。
「お雪は、己之吉が喋ったからには、己之吉を殺すことになっていた、しかし、子供がいるから自分が出ていったと、聞いているじゃろ?」
一同、「ふむふむ」
「ところがな、本当は、その頃の雪女の掟で、“正体を知った人間は必ず殺さなくてはならない”とされていた、だがお雪は、それができなかったんじゃ、そりゃ当たり前じゃ、長く暮らして子供まで何人もこさえりゃ情も移るってもんじゃ、最初は監視..スパイみたいなもんでもな」
「じゃ、どうしたの?」
「その場、雪女の一族が現れ、お雪に己之吉を殺す様に迫ったらしい、お雪は己之吉と別れるだけで勘弁して欲しいと願ったが、一族は聞き入れず、お雪は処刑されてしまったんんじゃ」

「ひえ~~、ちょっと見られた、喋ったぐらいで死刑なんて雪女って残酷!」

「これ、声が大きい、聞かれたらどうする?!そりゃ昔の話じゃ、今の雪女の世界とは違うんじゃ!」

寝子と猫娘は顔を見合わせる。

「確かに….平気で派手な格好、露出も多いスタイルで原宿とか渋谷、ほっつき歩いていたりするし~~可愛い女の子ひっかけたり…」
「じゃろ? しかしそれは今の“雪女郎政権”に変わってからの話じゃ」
「そうなのね…前に会った時、見た目はやくざの女親分だけど、話したら案外とフランクな“おばはん”だったわね」
「で、己之吉は葵とか残された子供を人間として育てていたんじゃが、やはりお雪がいなくなったのか、悲しみのあまり病気になり若くして死んでしまった、葵の兄弟姉妹もあちこちチリジリバラバラになったと聞いておる、親父殿が死んでから、葵だけ雪女の一族に拾われ、半妖じゃが、驚くべき妖力を見せ、雪女として生きてきたんじゃ」

部屋が静まる。

「子供の時は、悲惨な生活だったのね….それがどうしてああゆう性格になったのかしら?」
「わらわも、初めて会った時は,今とかわらんかった」
「ちょっと思ったけど、お母さんのお雪さんに手を下した雪女って、今もいるのかしら?」
「それなんじゃが…もし居座っていたらただじゃすまんだろう、絶対に葵に復讐されるにきまっとる、こうやって安定した生活を雪女達がしているわけがない…良くしらんが、突然の政変があったということは、そいつらが今度処刑されたか、追放されたんじゃろう、あんまり突っ込まない方がよさそうじゃ」

猫娘が窓の外を見ると、雪が降り続いていた。
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Author:yukikazetanyo
はっきり言って、へんな妖怪多数出てきます、
”ラブラブ”ではありません。

二次創作作画&SS,旅行,その他気まぐれサイトです。
原作,アニメ,出版社,企業等とは無関係です。

出てくる人物(妖怪?)は、数回登場すると原作などから
かけ離れた性格、能力となります。
また人脈、人間関係、家族構成、恋愛関係(妖怪だけど)も
かけ離れてきています。

しまいには、キタネコと離れた漫画、アニメがコラボというか
混入します。

*何かレス頂ければ、大変ありがたく存じます。
可能な範囲内でリクエスト受けます。

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